転職したてのアラサーOLがK-POPアイドルに順当にハマった話(2017年)
2017年8月28日の早朝、私たちは東京・鍛冶橋にて夜行バスを降りた。
真夏も過ぎた頃、思いのほか過ごしやすい天気だったかと思う。
早朝の平日にも関わらず、交通や人は多かった。
さすが大都会。きっと夏休み中の学生も多いことだろう。
そんな状況で眠い目をこすりながらも、私達の心は誰にも知られることなく、しかし確実に静かなる興奮に包まれていたのだった。
▼ハマったきっかけ
突然だが2017年の春、私はなんとなく少し病んでいた。住まいを変え職が代わり、慣れない環境に馴染めない頃だった。
そんな中、私の心を癒したのは漫画アプリの存在だった。縦読み漫画の走り(と勝手に思っている)のcom●coが全部タダで読めていた折より漫画アプリに親しんでおり、端的に言えば元・二次元オタクが、何よりクオリティーの高さに毎度驚く。
そもそもフルカラーの漫画をタダ?!?!で読んでいいのか…?!まあ向こうさんが良いいうてはるからにはありがたく読ましてもらいますけど、ええ。そんなよくわからない疑念を抱えつつもしっかり読み漁る毎日。com●coがポイント課金制になった途端貧乏性の私は手のひら返しで本拠地をXOY(現LI●Eマンガ)に変え、そしてある日、1つの作品との出会いを果たす。
▼「外見至上主義」
一言で言う。ネ申漫画である。(00年代オタク古語)
元はウェブトゥーンという韓国の漫画サイトで掲載されているものを、日本人でも読みやすいよう翻訳・設定の改訂がされている。
つまりは登場人物の名前や国もすべて日本設定になっているのだが、よく読んでいけば演出や作画上はやはり韓国のものという感じは見受けられる。
しかしながら、当時の私にとっては韓国という国やその文化に対しての認識はゼロに等しく、ハングルすら読めない状態。この漫画が韓国メイドというのも読み進めた後に知った話だ。それくらい、初見の人間にとっては違和感のない所感だったかと思うし、違和感があったとしてそれは「これまでに読んだことがない!」という“ポジティブな新鮮さ”につながったのだと思う。
そんな「外見至上主義」という名前を目にし、興味本位で読み始めた日が最後だった。
その後私は数日寝る間も惜しんでこの漫画を読み漁る日々が続いた。(当時は非課金で読み放題だった)
イラストが美しく各キャラクターの魅力はさる事ながら、話が本当に面白いのだ。そうして読み続けるうち、
四宮の素顔が早く見たい!
キャラクターの関係性最高!!
コージきゅん、きゃわわ!!!!!
そのような興奮が私を襲った。
しかしついに最新話まで読み終わると、ある問題に直面する。
そう、漫画の更新は続いていながらも、次の更新日である1週間後まで、読者の私たちには全く持って為す術が無いのである。(連載中のオリジナルWEB漫画は1週間に1度の更新が普通)
その間はただひたすらソワソワと待機し続けるしかない。私はたまらずSNSで「外主」ファンの方々のつぶやきや二次創作を鍵垢でこっそり拝見しつつ、更新までの日々を生き永らえていた。
そんな平和な日々の最中、私はとある出会いを果たしてしまう。
▼「ASTRO」というグループとの出会い
とある外主ファンアカウントの方が韓国アイドルグループ「ASTRO」を熱く推しているツイートを拝見したのである。
・・・ほ~お。K-POP、か。
その時点では正直、私の中にあるK-POPのイメージといえばこの4点だった。
・言語が耳慣れない
・とにかく派手
・全員同じ顔
・沼みがえげつない
=怖い!!!!
K-POPを知らない人間が100人集められたとしたら97人くらいは同じ回答をすると思う。
私自身音楽は好きな方だが、自発的に「よおし、ケーポッピ、聞こ~う!」という思いでそれらを聞いたことがなかった。覚えている限り初めて触れたK-POPといえば、当時昼ドラの主題歌だった東方神起先輩だろうか。もしくはKかな?空前の冬ソナブーム期、我が母親も例に漏れずダダハマりしていた様子を横目に見ながら当時の私はといえばやはり二次元の沼にズブズブだったわけで・・・あ、話逸れました。
本当に無知の状態である。何より4番目の理由は同級生にドえらい沼に浸かった者の存在を知っているからであった。彼女はSNSで頻繁に「渡韓なう」だの同じ種類らしきCDを大量購入し「サイン会外れたTT」だの書いており、周りからも"なんか知らんがヤバいヤツにハマっている"者として若干奇異の目で見られていた印象がある。私もおせっかいながら心配はしていた。(といいつつ自分は二次元の沼に)(割愛)
しかし今、その同級生に会えるなら謝って言いたい。
「自らハマった沼、チンチャあったけぇな」と。
そう、ASTROというグループに出会ったその時点では、当時リリースしたばかりの「Baby」のMVを見て単純に「へ~いい曲じゃん」と思うだけに留まっていたはずだった。
(マジで贔屓目なしにいい曲なので聞いてほしい)
(メンバーがかわいすぎるから同じ曲でいくつもMVが作られてるの凄くない?それぞれ見てほしい)
(追記)ちなみに2019年にはめでたく日本デビューを果たし、Japanese verがリリースされたよ!
日本デビュー曲「花咲ケミライ」も良曲だから聞いてくれよな!
(カメラワークがぶち回りすぎて草通り越して花。)
(花咲き誇ってミライ。)(そういうことだよね)(そうですね)
しかし、とある関連動画をクリックした事により、私の人生が変わる瞬間が来てしまったのである。
▼ファンPD事変
この単語に聞き覚えが無い方はひとまず動画をクリックして頂きたい。
勿論何百回と見ている。何度見てもヤバイ。と言う方は速やかに仲良くなりたい。
そういう話はちょっと…という方はお手数ですがブラウザをお閉じください。貴重なお時間を頂いてしまい失礼致しました。
語るべき所は既に先人に語り尽くされている事と思う。だが一言だけ言いたい。
「企画プロデューサー、正気か?」
美少年達のトレジャーボックスが過ぎる。
何とは言いません。私こと元・二次元オタクは
美少年たちのブロマンスが
三度の飯より大好きです!!!
さて、こんな動画に早々にブチ当たった結果、私は寝る間も惜しんでSNS上にバラ撒かれた餌(動画)を漁りまくり、1人で抱えきれない苦しさが募った挙句、心当たりのある身内オタクにLINEを打ち、同じ手順でこの沼に引きずりこむ事に成功した。
持つべきものは同じ性癖を持つ友。そうして2人で供給に沸いているうち、ようやく6人の見分けも付いて来た所で、気になるポイントがいくつか増えてきた。
・何故この子達こんなに仲良いの?
・いつから活動してる?
・デビュー前のウェブドラマ?
・リアリティ番組?
KPOPのケの字も分からない人間に対する公式情報量の多さたるや、そりゃもうえげつなかった。
この時点でも既に私たちは寝不足の生活を送っており、何をしている時も、脳の片隅にはASTROがいた。そんな日々の状況には正直、自然と危機を感じているのも事実だった。
何せ私達、元は二次元のオタクの端くれ。新しい沼に入った瞬間の気持ちよさと、その後続く好き~!!!の波にさらわれたが最後、推しにヘコヘコと服従し金を落とす未来がその時からわかりすぎるほどに見えていた。しかし待てよ、と肩をつかむ現実の自分も確かに居た。周りの同世代が実直に現実と向き合い、婚活にいそしみ結婚・出産をする横で、自分だけがまんまと新しい沼にハマり、人生くすぶっている暇があるのか?と胸に手を当て静かに問うた時もある。
しかしK-POPは、彼らASTROは、
当時の自分には計り知れないほどの何か大きな波を私の心に感じさせた。
そして自分のことだ、よくわかっている。
オタクは、自分の直感に抗えない。
そんなこんなで私は潔く沼の底へのチケットを買った。
その結果、
自分の好きに素直になるって、めちゃくちゃ気持ちE~!!!!!!
簡単なもんである。
以降、私は仕事が終わると家に直帰し早々に寝るまでの準備を済ませ、それからは眠くなるまで動画を見続けるという日々に生活スタイルが変化していった。
まず順を追って紹介したいのはアイドルの内面的魅力がわかる「リアリティ番組」の
ASTROプロジェクト、
続いてOK!準備完了、
そして当時は異例のデビュー前WEBドラマ「TO BE CONTINUED…」
(※「V LIVE」は日本語字幕設定にすれば字幕が出ます。
「TO BE CONTINUED」はファンの方がご厚意で字幕をつけてくださったものを紹介させていただきます)
そんな彼らの過去を追うごとに、まだ見ぬ彼らの魅力に取り憑かれていった。
V LIVEを遡りながら、公式Twitterを見漁り、大学卒業後ほとんど触っていなかった鍵付きリア垢でアロハ(ASTROのファンの総称)のツイートをいいね!する日々…。
しかしこの時点では分かる通り、私たちはまだ茶の間(在宅で現場に行かないオタク)だった。つまりその状況においてはどっぷりとASTRO沼にいながらも「まだ大丈夫」というせこい体裁を保っている状態だった。
この時点、2017年8月中旬。
相変わらず、同時に沼入りした身内オタクとの秒単位でのLINEの撃ち合い合戦も熱の冷めやらぬある日、私達はついにひとつの気づきを得る。
「なあ、ASTROの東京公演チケット…
まだ余ってるらしいぞ…」
チケットガ、アマッテイル?
そう、実は彼らASTROが2017年8月、初めての日本公演をすることを勿論SNSで確認をしていた。
しかしながら、先述の通り私達は茶の間であることで体裁をギリ保っていたオタク。そしてハマったばかりのK-POPという文化に対し、その場で生で体感することになんとなく恐怖を感じていたのもあった。
それでも、自分のスケジュールを一応確認してみること自体はなんら悪いことではないと思った。
「うんうんとりあえず確認は、ね。でもチケット余ってる日、平日じゃん?
まあ私はたまたま休みなんだけど、サ。で、君は?え?君も休み?ふ~~~ん。そうなんだ、へえ~~~~~~~~~~・・・」
…………
そうして話は初めに戻る。
YOUは何しに東京へ?
もしその時、某番組よろしくそう尋ねられたなら、私たちは目を輝かせこう答えるだろう。
「私達の星(ASTRO)を、見に来たんです…」
この日から、私の日常はまた大きく変化していくのであった。