アラサーOL(元ライブキッズ)が初めてK-POPアイドルのコンサートに行った話(会場入り編)
私がK-POPアイドルにハマるまでのお話は前回の記事をご覧ください。
さて、会場にやってきた私と友人は前回書いた通りほんの数週間前に韓国アイドルにハマったばかりの人間だが、いわゆる"現場"にはこれまでも足を運んだことはある。
というのも、私達は元々邦楽ロックが好きな所謂ロキノン厨と揶揄されていたロック畑出身のオタクでもあり、好きなアーティストが出演するライブやフェスには、学生時代から数多く足を運んでいた。
そんな現場に行く時の心構えといえば。"自らの素手"を天空に振りかざし、アーティスト公式の"タオル"などでアーティストに熱烈な思いをぶつける・・・いわゆる「ライブキッズ」のそれである。
つまりは「モッシュ」「ダイブ」当たり前(※現場によって禁止されています)、パーソナルスペースなんて0Mileも当然だしどこの馬の骨かもわからん隣の客の血、汗、涙上等。(※血は滅多にないです)状況によっては酸欠で倒れるファンもいる。いわば戦場に赴く覚悟だ。
※『「モッシュ」「ダイブ」ってなあに?』な方へ。
わかりやすい例を上げるとこんな感じの現場です。
(あくまで「わかりやすい」例です!全部が全部こんな感じじゃないですよ!)
そう。そこはまさに戦場。そんな意識なので、ライブ、と聞けば他のファンの怪我の元となるピアスなどの装飾品は一切つけていかなかったし、スカートなんてもってのほか。バンTとディッキーズのパンツ的な動きやすい恰好あとはタオルさえあれば俺たちはひとつ、屈強な魂と強靭な身体でライブ乗り越えんぞ!!!そんな精神だった。(最近ではお洒落な格好してる方も多いですが…)
わかりやすい例を出すとこんな感じ。
【いるよね こんな奴シリーズ30】
— すれみ (@_Smitter2) May 13, 2014
『ゴリゴリライブキッズ女』#あるある#いるいる#ライブキッズあるある#激ロック#共感したらRT pic.twitter.com/MBROpWy3kZ
動きやすさ>>>>>>>>>>>おしゃれ>>>>>>>>>>>>>>>>女子力
これ。
このようないで立ちで毎度現場に臨んでいたのである。参戦。字のごとく「戦いに参る」。おおむねジャパニーズサムライの意識である。
そんな感じで私達はこんな感じでしかライブに行ったことがなかったので、K-POPアイドルだろうがおかまいなし、今回の現場もそのような気持ちだった。
なぜなら会場は「Zepp Tokyo」。そう、ロックバンドのツアー御用達天下のZepp様、なんせスタンディングライブ。これはまさに元ライブキッズだった私たちのホームではないか!?(正直に言うと「Zepp "Tokyo"」自体は初めてのハコ。ですがほかのZeppはいくつか経験済だったので)
正直初めてのK-POP男性アイドルのライブに緊張を隠し切れずにいたものの、会場がスタンディングと聞いて私たちは完全に高をくくっていた。
「なぁんだ、いつも通りでいいんじゃないか。」と。その考えがとんだ命取りになるとも知らずに・・・。そんなわけで、私たちはいつものごとく動きやすく疲れないような真っ平らなシューズと汚れてもいいヨレヨレのTシャツ、そしてタオルを手に会場に赴いたのだった。
しかし、会場に着いた途端、目に入った光景に私たちは愕然とする。
「ねえ待って・・・
めちゃくちゃ若くてお洒落なかわいい女の子たちが沢山おる・・・・」
※あくまでイメージです
(「キラキラ女子大生」で検索しヒットしたものをお借りしました)
私たちは会場を間違えたのだろうか?周りを確認する。否、違いない。ここはZepp Tokyo。しかしなんだ、空気がおかしい。誰もディッキーズのパンツ履いてないし身軽な格好してない。なんなら何故かめちゃくちゃ大きい鞄(多分フォロワーに配る用の大量の「ソンムル」(=お土産的なもの)が入っていたのだろう)持ってるし、黒い板にハングル文字が書かれたものを首から下げたり持っている人もいる。(のちにこれが「ボード」という文化だと知る)
私たちの目の前には、どこで買い揃えたのか、なんともかわいらしいお洋服に身を包み、一見しただけではまさかアイドルオタクとはわからないような♡ソ〜〜〜〜〜キュート♡な女子たちがキャッキャウフフしながら開場の時まで交流を深める様子が広がっていた。
まだ早い時間帯だからか、年代は高校生から大学生くらいの方が多い。SNS上でやり取りをしていたのだろうか、「〇〇さんですか!?わぁあ(涙)やっと会えましたね~♡」などとこれまたかわいらしい声でお話をしている。
その様子を見た私は心の中で密かに震え、勝手に裏切られた気分でいっぱいだった。
なぜなら。
当時私はまだアイドル追っかけ専用のSNSアカウントを所持しておらず、大学時代から使用していたいわゆるリア垢(しかも鍵付き)で密かにファンたちの呟きをチェックしていたのだが、なんというか皆それぞれクセが強かったのである。
普段の彼女たちの呟きが、
「ああ、〇〇くんカッコイイ(><)♡」
だけで済むなら、この女子女子空間にも驚かない。
だが私がSNS上で見ていた呟きと言えば
「〇〇たゃバブみしゅごいよぉお><保護者になりたいよぉおお」
「〇〇の腹筋がヤバい。えっちすぎる。何がなんでもこの目に収めたい。でも見たら死ぬ」
「〇〇の足が綺麗すぎ。踏まれたい。」
「あの冷たい目で見下げられて蔑まれたい」
「ていうかゴメン☆今まで黙ってたけど私〇〇の彼女だわ。仕事終わり疲れてるだろうにいつもホットミルク入れてくれるんだよねTT 大好き・・・♡(もちろん妄想)」
(あくまで一例です)(まだマシな方です)
こいつら・・・この本性どこに隠してやがる・・・
割と本気で震えが止まらなかった。
ところで、実は私はこれまでアイドルの現場に行ったことがないわけではい。
しかしいずれも女性アイドル(ももクロ・でんぱ組)で客層は男性が多かったこともあり、こういう空間が常。
(いろいろ言いたいことは察してください)
つまりはボロ雑巾に近い服がベターなことは間違いないとの認識だった。
しかしどうしたことか。
その会場ではどこからともなく、なにかフローラルな香りが漂ってくる。
足音もドスドスドスじゃない。ヒールタイプのコツコツコツ・・・♡という控えめでかわいらしい音。スタンディングホールのZeppにかのようなお洒落な靴で来るなんてこれまでの私たちにとっては前代未聞の光景である。しかし、この状況においてはそれらが法のようだった。
そう、会場にやってきたファン全員が全員、
きっと推しとの♡デート♡を本気で楽しみに来ている。
私達のような心はサムライ、見た目は落ち武者のような女は一人も居ない。
皆が皆、オンリーワンのプリンセスだったのだ。その様を一通り確認したのち、私達は自らを抱きしめるかのように身を屈めて思う。
K-POP女子すごい。女子力ハンパじゃない。
どうしよう。私達めっちゃアウェー。
そんな仮面舞踏会にホイホイと紛れ込んだ私 a.k.a 元ライブキッズは、自分の下賤な恰好を心から恥じた。ドレスなんて大層なものでなくていい、なんでもいいから、とにかく自らの服を今すぐにでもシフォンワンピースとかそういう女子力高めの武装に取り換えたかった。だが時すでに遅し。開場まで服を買い直したり物販に並ぶ時間もない。
しかしながら、この時点ではまだアイドルに対して「ガチ恋(リアコ)」という感情が皆無だったこともあり、なんなら当日は彼らの保護者の気分で、コンサートは授業参観と称し、彼らの晴れ姿を応援する純粋な気持ちでやってきている(体)なのである。
ならば元ライブキッズらしく、私は私でアーティストへの愛を体で叫ぼうじゃないか。
こんなこともあろうかと、実は私は油性ペンと白地のTシャツを用意していた。
そして最寄りのスタバで徐にペンを走らせる私。
「・・・・本当にやるの?」
「うん・・・せっかくだし・・・」
もはや何に仁義を通そうとしているのかは謎である。しかし戦場に赴くサムライの心を始まる前から捨ててはいけない。
「せっかくの日本ツアー、せめてカタカナは覚えて帰ってもらいたいし・・・」
いや何目線?(ドスベリポイント50000000点)
しかもこれで最前に入るわけでもないのがドスベリポイント300000点加点である。完全に周りのファンに神妙な目で一瞥されて終わりなのだ。しかし、私は中途半端なボロ雑巾に身を包むよりかは、アーティストへの愛を手書きで伝えたかったのだ。(その割にグループ名しか書いてないのなんで?)(時間なかった)
こうしてこの珍妙なTシャツを身に纏い、私は会場入りしたのだった。